定位置について、すでにバターの塗ってあるトーストをひとくちかじる。
隣の席には、さっきまでいたであろうツキが使ったプレートやマグカップが置いてある。
プレートの上にはイチゴジャムのついたスプーンが置いてあって「やっぱりな」って心の中で呟いた。
甘いの苦手なくせにトーストにはいつもイチゴジャム。変なの。
サクッサクッといい具合に焼かれたトーストの音を立て、時々サラダやベーコンをつまみながら、最後のひとくちを食べ終える。
「ごちそうさまでした」
「時間大丈夫なの?」
「ヨユーヨユー」
3分の1くらい残しておいたカフェオレを最後にぐびっと飲み干す。
見上げたアナログ時計はちょうど8と12を指している。
入学式の開始時刻は9時。
だけど、新入生は8時25分までには教室に入ってないといけない。
ここからわたしが通う高校は自転車で15分くらい。
徒歩通学のわたしがかかる時間は…
がたりと勢いよく立ち上がった。
キッチンに立つお母さんも驚いたのか、びくっと肩を揺らす。
「やばいっ!!」
そう言い残してわたしは急いでリビングを出た。