部屋に戻り、慣れないブレザーの制服に袖を通す。
中学時代に着慣れたセーラー服と比べて、なんだかずっしり重く感じた。
ちょっとだけ袖の長いブレザーはなんだか少しかっこ悪い。
けれど、それでも。
セーラー服よりも丈の短いブレザーのスカートに、女子高生って感じがしてウキウキする。
ひらひらと何度がスカートを靡かせたあと、姿見で最終確認。
深い紺色のブレザー。
しっかりと折り目の付いたチェックのスカート。
青色のネクタイ。
学年によって色の違うタイはネクタイかリボンか日によって変えることができる。
なんとなく今日はビシッとキメたくて、ネクタイにしてみました、なんてね。
最後に笑顔の練習。
「美空〜?早くご飯食べちゃいなさいよ〜?」
一階から聞こえたお母さんの声に、間延びした返事で答える。
「うんっ、完璧っ!」
そう呟いてセミロングの髪を揺らしながら、また階段を降りた。
降りたそこにはアイツの姿はない。
きっと今頃リビングで朝ごはんでも食べていることだろう。