布団の中でスマホを探し当て、画面を軽くタップした。


ロック画面に映し出された日付と時間。

眠い目を何度か開閉させたあと、あることに気がつく。


離れ難い布団から抜け出し、きっとまだいるはずのアイツの元へ駆け出す。




〝4月9日〟




階段を降りて、リビングに入ろうとするアイツの姿を見つけた。



「ツーキーっ!」



階段の上からそう叫ぶと、アイツが振り向く。

ドタバタと大きな音を立てながら、階段を駆け下りた。



「ツキっ、ツキツキツキっ」



─── バッターン



例えるならこんな音。
ものすごい音ともに、あと数段の階段から滑り落ちた。



「...っ、いって〜」



そう声を上げたのは、わたしではなく、わたしの下敷きになっているアイツ。

けれど、そんなのお構いなしに、アイツに顔を近づけてこう言った。



「入学式!高校生だね!ツキっ!」



自分でも言うのもなんだけど、とびっきりのスマイル付きで。