「ソラ。置いてくぞ」
「んん〜〜」
「今日何の日か分かってる?
ほんとに置いてくからな?」
ハテナマークのついた台詞が頭に流れた。
けれど、それは頭の中で何回かリピートされたあと呆気なく消えてしまう。
「ソラぁ?もう知らん、置いてくからな」
次に聞こえたのは、ほんの少し怒気を含んだ声。
「んん〜ツキ〜」
今度はわたしが呼び慣れた名前でアイツを呼んだ。
そう呼ぶと、奪われたはずの布団がボスっと頭の上に落ちてくる。
ぶるっと震えたあと、また布団の奥深くに潜り込んだ。
春って言ったって、まだ朝は冷える。
ぬくぬくの布団の中で昼まで寝ていたい。
って、いま何時なんだろう?
春休みだってのに、なんでわざわざアイツが起こしに来たの?
もぞもぞと布団の中で枕元に置いていたはずのスマホを探す。