「なんでこいつこんな静かなの?」
ツンツンとわたしの頬を何度かつついたあと、にょいーんっと頬を引っ張るツキ。
何の断りもなくわたしのポテトをつまんでいる。
こんなのも慣れっこ。
「ソラ?」
くさい。
「……」
クサイ。
「おーい美空ちゃーん?」
くさい。クサイ。臭い。
「えっ、ちょっ、おい、!?」
ツキの手を振り払って、普段から持ち歩いている柑橘系のデオドラントスプレーをツキに振りかける。
「セトミヅキ、オマエ、クサイ」
「は?」
カタコトのわたしの言葉に、案の定ツキは眉根を寄せて意味がわかっていないご様子。
「汗臭い?」
「ムカつくくらい臭わない」
「え、この歳で体臭?」
「アホか」
くんくん自分の匂いを嗅ぐツキに黙って見守っていた涼介が突っ込む。