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「...ラ、..ソラ」
微睡みの中で幼い頃から聞き慣れた声が、聞き慣れた呼び名でわたしを呼んだ。
「ソラ、起きろ」
だんだんと夢から現実に引き戻される意識の中で、さっきよりもはっきりと心地良い声音が耳に流れ込む。
そんな声と同時に閉ざされていたカーテンが開かれ、朝の暖かな光が部屋に差し込む。
その光が夢から引き戻されたばかりのわたしには、あまりにも眩しくて、布団の奥深くに潜り込んだ。
「だめ。早く起きろって」
そんな抵抗は虚しく、声の主によって呆気なく布団を奪われてしまう。
ダイレクトに朝日を浴びて、まだ開ききれていない瞼を更に細くした。
「んん〜っ、ねむい〜」
舌っ足らずな第一声。
すぐ近くで呆れたようなため息が聞こえる。
しぱしぱと開ききらない目を開閉すると、真上には見慣れたアイツの呆れ顔が少しずつ鮮明になる。
こんなのも、もう慣れっこだ。