うう、周りからの視線を感じる。
初日から遅刻するだけでも結構な痛手だっていうのに、まさか変な勘違いをされるなんて…
ちらりと盗み見た彼、岸田くんの顔はほんの少しだけまだ赤い。
そんな彼の表情につられて、なぜかわたしの顔にも熱が集まる。
男の子のあんな表情久しぶりに見たかもしれない。
なんか、こっちが照れるし、くすぐったい。
ふと顔を上げた先、ツキの大きな背中。
こいつは昔からおかしなくらいモテてたからなぁ。
女慣れしてるというか、なんというか、岸田くんみたいな初々しさはもうないんだよなぁ。
周りには可愛い女の子がいるのが当たり前で、いつもスッとクールに澄まして、凡人には難しいことも簡単にやってのけて…
「…………」
考えてたらなんかイライラしてきた。
可愛げのないやつめ。
ガッとツキの椅子の足を蹴った。