ガラッ…
スライド式のドアを勢いよく開けた。
あれっ、この場合、そっとバレないように開けた方がよかったのでは…
随分、派手な音が鳴ったからか、これからクラスメイトになるほぼ全員がわたしの方を向いた。
教卓に立つ先生は若くて優しそうな女の先生。
自己紹介の途中か、終わったあとだったのか〝山本春子〟と黒板に書いてある。
「えーっと、高野美空さん?かしら?」
驚いたように先生がわたしの名前を呼んだ。
「あっ、はい、高野です。
初日なのに遅れてすみません」
気まずさマックスの中、明らかに楽しそうなニヤケ顔を浮かべているヤツがいる。
言うまでもなく、ツキなんですけどね。
そのツキの後ろはやっぱり空席。
まあ、わたしの席だから当たり前なんだけど。
けれど、その隣ふたつ並んだ空席にこてんと首を傾けた。
わたし以外にいない人がいる…
少し考えたあと、掴んでいた手の温もりで思い出した。
またその手をクイッと引っ張ったあとに、
「この人も一緒です」と先生に告げる。