カーンコーン…
チャイムの鳴り響く校内をこれでもかってくらいのスピードで走る。
途中で〝廊下は走らない!〟って、小学生じみたポスターを見つけたけど、そんなの構っていられない。
1年の教室は3階って書いてあったから、きっとこの階段を登り終えた先にあるはずだ。
「……っはあっ…」
体力がある方でよかった。
2階と3階の踊り場をくるりと回りながら、そんなことを思った。
あと3段の階段を一段飛ばしでひょいっと登り終える。
けれど、登り終えた先。
人影が見えて、勢いそのままにぶつかってしまった。
「ったぁ~~」
転ぶまでにはいかなかったけれど、思いっきりその人の背中に頭をぶつけて、ぐわんぐわんと視界が揺れる。
「ご、ごめんなさいっ!」
少し上から聞こえた低すぎず、高すぎない声に顔を上げる。
少し上にあるのは、ぼさぼさの髪の毛に黒縁メガネの男の子の顔。
制服は真新しく、彼にぴったりのサイズではなくて、少しだけ大きい。
きっとわたしと同じ新入生だ。