校内もピンクに色づいていて、春を感じさせる。
歴史のある学校なのに、校舎がきれいなのは、まだ建て替えられたばかりだかららしい。
辿り着いた昇降口には、新入生ひとりひとりの名前が1から9で振り分けられた紙が貼ってある。
なんとなく真ん中の5組から自分の名前を探す。
高野、高野っと…
5組にはわたしの名前はなくて、その右隣の6組の名簿に視線を移す。
塩川、篠崎、須藤、瀬戸、高野。
「あった」
まあ、なんともご親切に、わたし〝高野美空〟の上にはツキの本名〝瀬戸美月〟がある。
今年も同じクラス。
嬉しいような、そうじゃないような。
幸か、不幸か。
ツキとクラスが離れたのは中3の頃のたった1回だ。
これを見てツキはどう思ったんだろう。
また同じクラスかよって呆れた?
それとも笑った?
キーンコーン…
「そこの新入生~!急ぎなさーい!」
チャイムと同時に、先生のそんな声が聞こえた。
やばい、登校初日から遅刻は勘弁。
また走った。
今日わたしは何回走るんだろう?
そんなことを考えながら。