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ふわふわとピンク色が舞う中を、猛スピードで走り抜ける。


時々、顔見知りのおばちゃんから「みーちゃん行ってらっしゃい」と声をかけられる。

そのなかには「みーくんは一緒じゃないの?」なんて声をかけられて。


いつまで経ってもわたしはツキとハッピーセット。


それがいやでわたしは今、こうやってひとりで走ってる。


ツキが嫌いなわけじゃない。
むしろ大好きだ。


けれど時々いやになる。
理由はいろいろあるんだけど、セットじゃなくてわたし自身を見て欲しくて。



「……っはあっ」



立ち止まる。

切れた息を整えるように、深呼吸をして、今日から通う高校の門をくぐった。


その瞬間がやけに緊張した。



ひとりで門をくぐるのは初めてだ。

幼稚園も小学校も中学校も。
隣には必ずツキがいて、いっせーのっで門をくぐった。


懐かしく思えて、なんだか無性にツキに会いたくなる。



「はは、わたしってばツキのこと大好きだなぁ」



だって、朝、起こされて一緒にいたばっかなのに、もう会いたいって思ってるんだもん。


急がなくちゃいけないのに、そんなことを考えて、校門で足が止まった。