環が呆れたように言う。

実は、家族で環だけ、コーヒーが苦手なのだ。たっぷりのミルクにほんの少し、風味程度のコーヒーが入ったミルクコーヒーしか飲めない。コーヒーの香りは好きだけど、苦さがどうしてもだめなんだそうだ。

いろんなコーヒーが飲み放題の我が家ではもったいないと思うけど、人それぞれ好みがあるものね。仕方がないのよ。

「でも、これなら環でも飲めそうなんだけど。なんかね、コーヒーというよりは、濃いお茶…麦茶? みたいな感じよ?
飲んでみたら?」

「えー…。いい。やめとく。
絶対苦いってー。」

「…環はお子ちゃまだからなー。
ねーちゃん、ムリだって!」

「宣っ!!」

環が宣を睨みつける。
この2人の姉弟ケンカはいつものことだ。

でも、これは本当にコーヒーが苦手な人でも飲めそうなんだけどな。
環も飲んでみたらいいのに。