「オーバー40に見えたら、お客様が安心するそうです。そのための変装です。
あなたとも、なるべく顔を合わさないようにしているそうです。相手を刺激しないためにね」

「まさか……そんなことになっていたとは……。
真くん申し訳ない」

青ざめて詫びる達矢さんだが、責任はこの人にあるんだ。撫子は完全に巻き込まれ損なんだから。

「弁護士に相談していることは聞いています。何もしていないわけじゃないのもわかっています。
だが、そもそもこの問題は、あなた自身の甘さが原因だ。撫子に偽装関係を持ちかけた時点で、この事態を想定しておくべきだった。
実際には向こうの勘違いで今回の事が始まったのはわかっています。
でも、結局は誤解されてしまって、撫子の存在がカモフラージュになっているのは事実です。
俺は、大切な人を守るために、他人を犠牲にしてもいいとは思わない。
偽装関係の結末には、責任を負う覚悟が必要なんです。
今、確実に撫子は犠牲になっています。
このままでは撫子が疲弊してしまう。
亜希さんとの話は進んでいるのですか?
そろそろ限界です」