僕にはいじめっ子の同級生がいる。
 正確に言うと、僕がいじめられているのだ。

 別にトイレに閉じ込められるとか、教科書や上靴を隠されるとか、そんなやり方ではない。
 あいつのいじめ方は単純で、金を巻き上げるのだ。
 小遣いが足りないのか、使い方が荒いのか、僕に貸せと要求する。 その金額は、万単位だ。
 僕が金が無いと言うと、家の金なり盗むなり何でもして持って来いと言う。
 挙げ句、母親に夜の仕事に行かせろと言うのだ。
 金が欲しければ自分で稼げと思ったが、その気はないらしい。
 腹が煮え繰り返りそうだったが、逆に利用する事にした。

 その同級生には取り巻きが二人いる。
 どんな弱味を握られているのか知らないが、彼に逆らえない二人はいつも言いなりだ。

 例えば父親が上司と部下の間柄とか先輩後輩とか、そんな程度かと思ったが、どうやら違っていた。

 それを知った僕は一人で大笑い。
 こいつら、馬鹿だ。 大馬鹿だ。

 だから僕の最初の標的は、中心人物のいじめっ子一人に決まった。