そして二人にとって、さらに衝撃の事実。

 僕は父親と女の会社それぞれにあらかじめ今回の件を報告しておいた。
 その結果、父親については年明けに無職となる予定。 女の方は転勤か、或いは降格といったところだろうか。
 だが、この部屋は退去になるはず。
 今まで散々騙して来たのだ。 今後二人がどうなろうと僕達には何も関係ない。
 これくらいしなければ気が済まないというものだ。

 そしてここからが肝心。

「私、再婚するわ。 相手はこの人よ」

「は?」

 実はこの弁護士、僕の同級生の元彼女の父親だ。 そう、あの時の彼女だ。
 母親は僕の紹介で、この弁護士に相談する内に互いの気持ちがその方向に向かったようだ。

「良かったわ、貴方が離婚に同意してくれて。 おかげでやっと再婚できるもの」

 馬鹿だね、父親。

「だ、だが! この男だって独身ではないだろう」

「あら、彼も離婚してるのよ」

 そして、僕からも言わなければならない。

「金はいらないよ。 これから無職で大変だろうしね」

 本当はそんなの貰わなくても、自分で稼げるから必要ないのだ。

 これから、父親はどう生きるだろうか。
 まぁ、せいぜい好きなだけ女を作って生きればいいさ。