なにかひとつのことに熱中しがちなんだよな。

 昔、叩いてかぶって、じゃんけんぽんにハマってたみたいに。

『ねえ、叩いて殴って、じゃんけんぽんしようよっ』
と自分によく似ているが、全然違う素敵な笑顔の姉がそう言い間違ったとき、ゾクリと来たのは正しかった。

 叩いて殴って全力で姉は勝った。

『おねえちゃん、ひどいっ』
と言いながら、二人でずっと笑っていたのを覚えている。

 たかがじゃんけんに必死な姉の狂気がなんだかツボだったのだ。

 でも、きっとそれは、姉が本気で自分と遊ぼうとしてくれていたのが伝わってきたから――。

 床磨きにも料理にもハマっていた姉。

 きっと男の人にもハマるんだろうな……。

 これと決めたら、変わらないに違いない、と妹は思っていた。