太陽が上りきっていてもおかしくない時間なのに、暗い空。


一面綺麗に咲き誇っていた花は、全てが紅色に染まっている。



その近くで、少女は泣いている。
そう、それが私。


何を見て泣いているのか。

それは、母の死。


仰向けで横たわり、その下はまるで赤色の絨毯を敷いているかのように広がっている。



母を何度も呼んでも返事はなく、目を瞑っている。


「はぁ…はぁ……。
また、この夢……。」


悪夢にうなされ、目が覚める。


「どうして……。
母は病気で亡くなったはず。」


できればあの日のことを思い出したくはないが、記憶に残っているのはベッドで安らかに眠っていた母の姿。


最後のお別れも言えなかった。