勘違いだと思ったが、何か引っかかる感じがしてルチアの後を追いながら考えていた。
その時事件は起こった。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
女性の悲鳴とともに何かが崩れたような音がした。
その瞬間に俺よりも先にルチアが走り出した。
彼女を追いかけると、その先には5歳ぐらいの男だろうか。
屋台の下敷きになっていた。
「おい!ルチア手伝え!
俺がこの屋台を持ちあげるから子供を引っ張れ。」
「う、うん!」
ルチアは顔を真っ青にしながら、子供を引き上げた。
酷い怪我だ。
これは俺が抱き上げて医者に連れていくしかない。
ルチアにそう言おうと思ったその瞬間、強い魔力を感じた。
「MOONSHINE―ムーンシャイン―」
魔力はルチアのものだった。
気づくと子供の怪我はあったいう間に治っていた。
「なんでお前が魔法石を…?」
「ムーンストーンよ。たまたま拾ったの。」
たまたまと言っているが、ルチアの持つムーンストーンとまだ見つかっていないペリドットは簡単に手に入る代物ではない。
俺たち…いや、敵国の奴らも喉から手が出るほど欲しがっている珍しい物。