調子が狂う。
何も思い入れなく、1ヶ月間過ごし消えるはずだったのに…。




あと、1週間とちょっとでここを離れなければならないのに、離れるのが惜しくなる。



「それは、心配だからです。気になっているからです。」



ノアは、普段ツンツンしているのに今迷いなくエメラルドグリーンの宝石をはめた瞳が私を映す。



「心配してくれてたの?」




「ルチア様が鈍いせいで全部言っちゃったじゃないですか!


この際だから全部言います!

心配もしてるし気になっています。
もちろんレイ様が好きですし、彼女が王に誰を選んだとしても、
俺の気持ちは絶対に変わりません。

そして、あなたは俺の好きな人の姉です。心配はします。」




…ありがとう。

心配してくれていたのは素直に嬉しい。


でも、どうしてツンツンしていたのだろうか。



「ノアはツンデレのひねくれ者で天邪鬼でな。

普段は思っている事と反対の言葉を言ったりする。」



私の心を見透かしているようにジェラルドが答えてくれる。



たまに私の本当の気持ちまで見透かされるのではないかって、本気で怖くなる時がある。



「おい!お前はいちいち余計なこと言うなよ。」




「余計とはひどいな、お前のために言ったのに。」





ノアが、ツンデレでひねくれ者で天邪鬼なら今までの言動に納得できる。




私もまだまだ人を見る目がないな。




「ツンデレでひねくれ者で天邪鬼のノア、ありがとう。」




「………。」