──突然のプロポーズから五カ月後の春。

 あれよあれよとことは進んで、お互いの両親への挨拶も済ませて入籍した私たちは、厳かな式場のガーデンにいた。

 バックにチャペルがあり、チューリップやパンジー、すみれなど、色とりどりの春の花に彩られている。おとぎ話のようなそのガーデンで、私はクラシカルなエンパイアドレスを、律貴はシルバーのタキシードを身に纏って寄り添っていた。

 傍からは愛し合っているように見えるだろう私たちに、カメラのレンズが向けられている。


「はい、では新郎様、新婦様を後ろから抱きしめちゃいましょうか!」
「えっ」


 前撮りをするノリノリなカメラマンの要求に、戸惑いの声を漏らしたのは私だ。しかし、なんのためらいもなく背後から腰に腕が回され、ドキンと心臓が跳ね上がった。

 近い、近い……! バックハグなんて過去にされたことあったかな!?


「いいですね~! そのままこっちに目線くださーい」


 早鐘を打つ胸を抑え、言われた通りにカメラに視線を向ける。密着している律貴は平然としていて、私だけがドキドキしていると思うとちょっと悔しい。