軽くあしらわれて、思わずムスッとする。

……さてはわたしに、ドキドキしてもらうだけの魅力がない?



「もっと可愛くなったらドキドキしてくれる?」



「……はあ?」



「もっと恭好みの女の子になろうかなって」



横を向くと、鮮やかなピンクの髪が視界の端で揺れる。

すこし前までは黒髪が当たり前だと思っていたのに、もうすっかり馴染んだ色。逆にほかの色なんて、想像できないなと思う。



「……はあ」



恭が、大きなため息をつく。

それにどきりとして不安になっていることなんて、恭は知らない。そんなわたしの腕を、ぐっと引っ張って。




「っ、ふ…ん、」



冷たい指に顎先を掬われると、そのまま強引なキス。

思わず隙間から漏れた吐息が熱くて、空気を白く染めた。



「……もう可愛くならなくていい」



「んっ、なんで?」



「お前のこと閉じ込めたくて仕方なくなる」



「っ……」



「"かわいい"って、いつも言ってんだろ」