「今年も冷え込むわね」
「さみーな」
藍華のたまり場からの帰り道。
雪こそ降らないものの、かなり冷え込んで寒い。コートを着てマフラーを巻いているけど、突き刺すような寒さでほっぺたがピリピリする。
じっと隣を見つめれば、今日もキラキラ輝くまばゆい金髪。
……好き、だなあ。1年前は、またこうやってこの人の隣を歩けるようになるなんて、想像もしてなかったのに。
「ん」
わたしの視線に気づいた彼が、ポケットにも入らないままになっていた冷たい手を握ってくれる。
手を繋ぎたくて見てたわけじゃないんだけど、嬉しかったから良しとしよう。
最近はバイクに乗るのが寒すぎて、こうやってふたりで歩いてたまり場まで往復することが多い。
さすがにそこそこ時間はかかるけど、ふたりで歩くこの時間も楽しくて好きだから、気に入ってる。
「クリスマスもあるし、年越しもあるし……
冬休みは楽しみがたくさんね」
「おー。
夏休みん時はまだ付き合ってなかったしな」
「ふふっ、そうね」
人気のない道で、恭が不意に立ち止まる。
どうしたのかしらと、続けて立ち止まった。恭とふたりだからなんにも気にならないけど、ひとりで夜に歩くにはすこし街灯が心もとない薄暗い道。
「、」
無意識に恭を見つめていたら、不意に近づく彼の顔。
そして冷たいくちびるが、ほんの一瞬触れる。
「……恭、」