……やっべ。
終業式前のホームルームやら、何やら。一応授業中であるその時間に、話も聞かずこっそり暖とチカと3人でオンラインゲームをやってたせいで、スマホのバッテリーを相当喰ったらしい。
あまりバッテリー残量を気にしてねーからギリギリになってたまり場で充電するのなんてザラで、モバイルバッテリーも今は持ち合わせてねーし。
あまりのタイミングの悪さに、ため息が漏れる。
「………」
なんとなく気分が乗らなくて、一度病院内の売店に足を向けた。
飲み物を2本買ってから病室にもどれば、どうやら紗七の点滴は終わったらしい。
「受付でお会計したら帰れるから」
「ん。
紗七、モバイルバッテリーとかって持ってねーよな?」
「普段なら持ち歩いてるけどさすがに持ってないわよ。
充電無いの? 家帰ったら充電器貸してあげる」
看護師から話を聞き終えると、掛けてあったダウンジャンパーを羽織って、荷物を纏めた紗七と受付に向かう。
そう待たされることも無く呼ばれて会計を終わらせ、病院前の乗り場からタクシーに乗り込んだ。紗七が行き先を告げると、車は滑らかに発進する。
「……なんか怒ってる?」
「べつに」
「でも素っ気ないわね」
本当に怒ってるわけじゃない。
だけどイブに鞠と過ごせずこの状況に身を置いてる自分には、正直イライラしてる。いくら、はやく帰ると言ったって。
俺が逆の立場なら、引き止めようとする。
……文句のひとつも言わずに送り出してくれた鞠がどんな気持ちだったか、何も考えられないほど無神経でもない。
「、」