「結婚するの?」
「……なんだよ急に」
「いや、そんな若いうちに、
婚約者とか決めちゃっていいのかなと思って」
花蔵と橘花。
そのふたつがなければ、確かに俺らは高校生で婚約もできないただの恋人に過ぎない。以前付き合っていた時のように、何らかの事情で別れる可能性が"絶対に無い"とは言い切れない。
でもひとつ確かなのは、たとえ何があったとしても、俺はもう鞠のことを手放せない。
これから先もずっと変わることなく、鞠のことだけ想い続ける。
「俺はそれでいいと思ってる」
実際別れていた間も、気持ちが何一つ変わらなかったことがその証拠だった。
再会した時、戸惑いよりも嬉しさの方が明らかに大きかった。……鞠には言ってやらねーけど。
「そんなに好きかぁ。
昔は紗七紗七って、わたしに着いてきてたのに」
「そうでもないだろ」
「かわいい弟みたいな存在だったのになー。
先に行っちゃうみたいで、お姉ちゃんは悲しい」
「誰がお姉ちゃんだ」
ふっと、ため息をこぼす。
……さすがに、気づいてない、わけじゃない。
「えー? わたし以外いないでしょ?」
少なからず好意を向けられていること。
気づいてないわけじゃないから、かなり困ってる。