言われて彼を見てみれば、その言葉通りなのか眉間に皺を寄せていた。
……まあ確かに、わたしも果歩の前で恭に電話してと言われたら、恥ずかしいからわかる。
恭はふたりきりのときだけたくさん気持ちを伝えてくれるし、逆も然り。
付き合ってから3ヶ月以上は経ったけど、未だに好きって伝えるだけでもドキドキする。
「まあ、まだ先の話でしょ。
それよりも、もう年末なんて今年も早いね」
それを聞いてなずなくんを見れば、ミカンをぱくぱく食べていた。
いかにも年末っぽい光景だ。
……先日から幹部室の端っこにミカンがたくさん入ったダンボールが置かれてるんだけど、結局それ誰が持ってきたんだろう。
気にせず食べて、とのことだから、わたしも何個かもらったけど。
「ちなみにー、
みんなそれぞれクリスマスのご予定はー?」
ひょこっと。
薄紫の髪を揺らして聞いてくるチカくん。綺麗な水色だったはずの髪は、「色落ち綺麗じゃないし早いしめんどくさい」との理由で、最近紫色になった。
ちらっと、隣の恭を見る。
わたしの視線に気づいた彼は。
「デート」
なんの躊躇いもなくそう言った。
……まあ、ですよね。今年はクリスマスイブが金曜日だから、終業式もクリスマスイブ。そこはみんなも同じようで、そのあとから恭と待ち合わせ。
「わたしとあすみもデート。
ってことで、なずなくんとチカくんと暖くんは、藍華のみんなでクリスマスパーティーでもしててね?」
「ぜってぇやだ。鞠ちゃんかわいい友達いねえ?」
「……前も言ってたわねそれ」
一緒に過ごしている時にクリスマスの話題になって、なんとなくデートする予定が決まったわたしたち。
イブの夜から会う予定ではあるけど、何をするかはまだ特にきめてない。