言葉の真意を探りたいのに、なんだかよく分からない。
その"よくわからない"状態こそが暖くんの優しさだと知ったのは、真意を知ってからだった。
「"たまたま"、都合良く。
イブに倒れて恭に連絡してくるの、俺は変だと思う」
「っ、」
「本当にたまたま体調が悪くてそうなったんだったら、申し訳ないと思うけど。
でも少なからず"ただのいとこ"を急に呼び出すことは、絶対にねえと思う」
ましてや、婚約者がいることを知ってるのなら。
そう付け加えた暖くんに、隠そうとしていたはずの痛みがピリッと顔を出す。……知らないフリを、していたかった。
「恭の仕事を、教えてくれてる人なの。だから……」
仕事終わり、仲睦まじくエレベーターからおりてくるふたりを思い出すだけで、なんだかじくじくとした痛みが走る。
信じていたいのに、疑ってしまう自分が嫌だ。
「ずっと思ってたことがあるんだけどさ~」
もらったココアで指先はあたたかいのに、頭からつま先まで全身冷え切っていくような気がする。
きっと恭のいとこは、恭のことが好きなんだろう。
「あいつ、めちゃくちゃ詰め甘いよねえ」
「詰めが甘い……?」
「恭が家のこと話してたら、そもそも最初に別れる必要もなかったかもしれねえんだろ?
んで、デートしたその日に"あの件"があったり、今だって付き合ったからって安心しきってほかの女のとこ行ったり。……挙句に、」
暖くんが、とろりとした甘い瞳をわたしに向ける。
「なんとなく彼女を"いいな"と思ってる男に、
簡単に彼女のこと送らせちゃったりして」