「だって女の子がどうの、って言う割に。

藍華のみんなでずっと一緒にいるじゃない?」



「……まあ、ねえ」



「だから知ってるけど、イメージじゃないと思って」



ペットボトルのココアを開封して、口をつける。

あたたかいを通り越してすこし熱いくらいのそれをゆっくり飲んで、蓋を閉めるとすぐにでも冷えそうな指先を温める。



「……鞠ちゃん。

恭と付き合い始めて、可愛くなったねえ」



「前もそれ言ってなかった?」



本当にそう見えているのだとしたら、それは恭のおかげだ。

好きな人のために頑張ろうと思える気持ちも、素直になる大切さも、教えてくれたのは恭だから。




「……うん。

出会った頃よりも、断然、可愛くなったよ」



じっとその瞳に、見つめられる。

なんだかいつもと違う雰囲気に、どきりとした。



「わ、たしの態度が、違うから?」



「態度……、そうなのかねえ。

まあでも、素直に女の子らしく振る舞ってる様子見てたら、そんな風に思えたってことだよ~」



暖くんの指先が、わたしの髪を撫でた。

熱も共有しないような、淡い触れ合いの中で。



「世の中、お前みたいに優しい人間ばっかりだったら良いんだけどよ~。

そうでもない(したた)かな女もいるもんだねえ」



「う、ん……?」