……デートって。

送ってもらうだけなんだけど。まあでも暖くんは遊びたがってたのに結局明日も予定はないみたいだし、そのノリに付き合ってあげようと思う。



「ふふ、じゃあエスコートしてもらえる?」



「あいよ。帰るときいつでも声かけてな」



「んー……

ご飯作ったりしたいから、そろそろ帰ろうかな」



「ん、じゃあ行くか~」



ゆらっと立ち上がった暖くんと、みんなに"また日曜日"を言ってから、部屋を出る。

あすみくんとリカちゃんもそろそろデートコースに移行するのか、出る時間についての話をしていたし。



たまり場を出ると、そう時間は経っていないはずなのに当たりはもう真っ暗で。

ひとりでここから帰るのはさすがに心細いから、送ってもらえてよかった、とぼんやり思った。




「さみぃな~。鞠ちゃんその格好で寒くねえ?」



「ちょっと肌寒いけど大丈夫」



制服を下に着ているから、羽織れるものも限界がある。

丈の長いコートとマフラーで寒さを凌ぐわたしに、「無いよりはマシだろ」と、暖くんが自販機であたたかいココアを買ってくれた。



「……暖くんってモテるでしょ?」



「ん?知らなかったのかよ~」



「ううん。

知ってたけど、なんかイメージじゃないなと思って」



ぱちぱちと、暖くんが瞬く。

たしかに彼は綺麗な王子様のような顔をしているし、それだけでモテる要素であることはわかるのだけれど。