部屋にもどると、わたしが恭に呼ばれて出ていったことを知っているみんなに、尋ねられた。

ソファに腰掛けて、彼のいとこが倒れたことと、恭に連絡が来て病院に行ったことを伝える。



「え、行っていいよって言ったの?」



「うん。……行かないまま後悔して欲しくないから」



たとえ命に別状はなくとも。

もし心残りになってしまうくらいなら、行ってくれた方が良い。なんだかシン、としてしまった幹部室の中で、次に声を上げたのは暖くんで。



「あすみとリカちゃん、一緒に帰んだろ?

んじゃあ鞠ちゃん、俺が今日は送ってやるよ~」



「暖くんが?」



今まではこういう時、あすみくんがわたしのことを対応してくれていた。

けれどリカちゃんという彼女がいる今、なんでもかんでも彼の融通が利くわけではない。




「……送るくらいならしてやれるけど、」



「ううん、大丈夫。暖くんに送ってもらうわ」



それでも総長の責任感ゆえか、何とかしようとはしてくれる。

優しさ自体は嬉しかったし他の日ならリカちゃんの判断に任せたところだけど、今日は何せイブだ。



しかも今まで付き合っていることを隠してきたふたりが、はじめてゆっくり過ごせるクリスマス。

いくらなんでも邪魔したくない。



「なずなは明日予定あっからいいや~。

チカ、お前も一緒に来る? 非リア組だし」



「むう、非リアって言わないでよ……

いいやー。ぼく今日は帰って大人しく寝るもん」



「ん、なら俺とクリスマスデートしようかお嬢さん」