……わたしが知ってる?

なずなくんが明日デートする相手を?



ぽかんとして、しばらく考える。

その反応を見たなずなくんはわたしの反応が予想と違ったのか、明らかに"やらかした"という顔をしていた。……だからこそ、ピンと来たわけで。



「なるほどね」



「えっ、なにが……!?

なーちゃんも鞠ちゃんも教えてよー!」



「なずなくんのデートの相手。果歩でしょ?」



聞いてみれば、彼は肯定も否定もしない。

それが何よりの証拠だ。……誰、とまでは聞いてなかったけど、先日の合コンで、果歩はクリスマスの予定をゲットしたと喜んでいた。



わたしは実際に行かなかったから、相手が誰なのか知らなかったのだけれど。

果歩も果歩で、「上手くいったら教えるね」としか言ってなかったし。




「名前は出されなかったけど、明らかにあの子が話してる女の子の話が鞠ちゃんだったから。

……てっきり知ってると思ったのに、」



「あの子わたしの知らないとこで何を言ってるの」



紘夢が、遠くへ行ってしまったこと。

落ち込んではいたけれど、立ち直りが早いのもあの子の特徴だと思う。だってふたりが出会ったのって合コンでしょ?



「鞠ちゃん。一応言っておくけど、」



「うん、ふたりが合コンで出会ったのは内緒ね」



言った瞬間、隠すこともなく舌打ちするなずなくん。

その話題にチカくんと暖くんが飛びつかないわけもなくて、恨めしそうに「俺めちゃくちゃ根に持つから」と言われてしまった。



いつの間にか、恭以外のメンバーともこうやって打ち解けてふざけ合えるようになった。

普段は絶対に行かないけど、その日はたまたま合コンに行くはめになったのだと、なずなくんが身振り手振りで説明しているとき。