わたしの高校の修学旅行は、恭と付き合ってそう間もない頃に終わった。
とはいえ、学校での立ち位置がアレだから、ほとんど果歩と過ごしてたけど。
……紘夢の父親の件が、そこそこ大きく報道されたから。
学校でわたしを目の敵のようにして、紘夢の味方をしていた女の子たちも、もう何も言ってこなくなった。むしろ、気まずそうだ。
さすがに、紘夢の父親が襲った相手がわたしだってことはバレてないけど。
果歩にだけは、恭と付き合ったことを約束通り報告したときに、そういう事があった、ということだけ伝えた。
そしたら、わたし以上にショックを受けて心配してくれたものだから、我ながら良い友達を持ったと思う。
……わたしがピンクの髪で過ごしてても、引かずに一緒にいてくれてるし。
「留守番くらいできるわよ」
「心配だから、俺らがいない間はここには来なくていい。何かあっても誰も助けてやれねえから。
家と学校の往復なら、まあ問題ないだろ」
渋々、納得してくれるあすみくん。
確かにみんながいないのに藍華のたまり場に来る必要はないし、家と学校の往復であれば、橘花の人間が送迎してくれる。
「関西行くんだっけ?」
「うん、京都と大阪ね。
鞠ちゃんにも、ちゃんとお土産買ってくるから」
「ありがとうリカちゃん。
……でも急に会えないとなると寂しいわね」
高校が一緒のみんなと違って、わたしは平日はほとんどここに来ないから、顔を合わせない日数でいえばそんなに変わらないんだけど。
なんだか、物理的に距離が離れると聞いただけで、すこし寂しくなる。
「大丈夫だよ~。
リカちゃんはともかく、俺らはどうせ部屋とか一緒だろうし、テレビ電話でもなんでもしてやるよ~」
「ほんと?」
「ま、恭は?
俺らの前でぜーったい鞠ちゃんと電話すんの嫌だろうけど~」