当たり前のように置かれているけれど、恭の優しさであることは言わずもがな。

わたしが恭の彼女だから、すごく特別に扱ってくれる。



「鞠」



「おかえりなさい」



しっかり肌を保湿して髪を乾かし終わった頃、恭がお風呂から帰ってきた。

わしゃわしゃとタオルで髪を拭いた恭がわたしの隣に座って、一瞬だけキスをくれる。



「……今日は我慢する」



キスのために閉じたまぶたを持ち上げると、目の前にちょっぴり拗ねたような恭の表情。

それを見て、ついついくすりと笑みが漏れてしまった。



毎週のように一緒にいても、いつも触れたいのだと思ってくれていることが嬉しい。

伝えたいけど言葉で伝えるのは恥ずかしいし、はばかられる。代わりに身を乗り出して自分からキスすれば、後頭部を押えられて逃げられなくなった。




「っ、ふ、」



相性がいいってこういうことだと思う。

キスだけで頭がぼーっとするくらい蕩けて、何も考えられなくなる。



溺れてしまいそうでたまらず恭の服を握ると、一瞬だけ離れるくちびる。

ジッと見つめられて、それだけで背筋がぞくりとした。ときどき恭は、すごく熱っぽく見つめてくる。



「……なんでそんなかわいいんだよ」



「え、ええ……わかんない」



「あー……明らかに前より好きになってんな」



言いながらわたしを抱きしめて、恭がごろんとベッドに横になる。

落ち着くスペースに収まって、恭の胸に顔をうずめた。