甘い言葉で、全部溶かされる。

人前ではさすがに言ってくれないけど、ふたりきりの時ならかわいいってたくさん言ってくれる恭。……前に付き合った時に比べて、本当にたくさん伝えてくれるようになった。



「うん……」



「だから今のままでいい。

……まあ、今でも可愛すぎるぐらいだけど」



恭の腕にぎゅっと抱きつく。

重たいし歩きづらいし面倒なはずなのに、文句を言うどころかわたしの頭を撫でて、そのまま歩いてくれた。



「あったかい……」



「よかったな、タイマーのセットしといて」



恭の家に到着すると、帰る時間を計算してタイマーで暖房を付けてくれていたおかげで、恭の部屋はあったかい。

そのまま、リビングの暖房もつけて、お風呂のお湯張りの準備までしてくれた。……恭って本当はデキる男だと思うの。




前は「邪魔すんの悪いから」って言ってたお料理も、最近は積極的に手伝ってくれる。

たぶん、ちょっとしたものなら恭は簡単に作れると思うんだけど。見てる限り手際が良いし、包丁でお野菜切ってるのを見てても不安にならないし。



「湯はりできたら、先入れよ。

外寒かったし、ちゃんと温まらねーと風邪引く」



「でも、恭寒がりじゃない。

冷えてるのは、恭だって一緒なんだし……」



隣にいる恭の手を、ぎゅっと握る。

いくら暖房のきいた部屋にいるとはいえ、帰ってきて間もないせいでまだすこし冷たい。



「一緒にお風呂入る?」



「っ、おま、」



「だって蒔とはいつも一緒に入ってるわよ」