「友情も。約束も。虚しいですよね」
私は返事に困ってしまった。
まるで。
東野さんの言葉が、清香ちゃんから言われているみたいに聞こえたから。
約束なんてしなかったら、と思っている私に対しての、清香ちゃんからの抗議に聞こえる。
「仲良しグループのメンバーで、20歳になったら開ける約束で、タイムカプセルを埋めたいんだって言われても……」
すごく冷たい声で東野さんは話す。
東野さんは教室の中でも目立つタイプの生徒だ。
いつだって誰かとわいわい話している印象がある。
「そんな約束をしたところで、私達の友情なんていつ壊れるのか分からないのに」
「何かあったの?」
「横手先生は、友達の好きな人に告白されたことってありますか?」
「……東野さんは、されたの?」
「はい。断ったけど、友達は怒ってる」