小さな、華奢な日向の手。

私は口の中でもぐもぐと千切りキャベツを咀嚼(そしゃく)しつつ、あぁ、もうダメだ、と思った。


泣きたくない。

だけど、視界はゆらゆらと揺れている。



俯いた私を、席を立って近寄って来てくれた日向が抱きしめてくれた。












授業に出る気も起こらなくて。

私は日向と別れた食堂から真っ直ぐキャンパスを出て、1人暮らしをしているマンションの部屋に帰った。





夜。


スマートフォンの着信履歴を眺める。


彼氏の鈴井(すずい)くんからの着信履歴ばかり。


一件だけ入っていた留守番電話のメッセージを恐る恐る聞いてみた。


『……もしもし、俺、鈴井だけど』