私はずっと知らなかった。
ううん、気づかないふりをしていたのかもしれない。
清香ちゃんは体育の授業前、みんなと一緒に着替えることを嫌がっていた。
トイレの個室で。
パパッと着替えてくる。
いつだったか清香ちゃんの腕を触った時。
すごく痛がっていた。
慌てて謝ったけれど、大丈夫だから気にしないで、とカラカラ笑っていた。
清香ちゃんと過ごした、あの時間。
「シー・ファンキーズ」に溺れた、青春の日々。
もしも話なのに、「どちらが優大の彼女になれるか」ということで、真剣に優大を取り合った。
思い出すと恥ずかしさで息苦しくなるけれど、キラキラとまぶしい毎日だった。
そして。
冬のある日。
清香ちゃんは、この世から飛んでいってしまった。