「……ねぇ、周くんが彼氏だったとしてさー」

日向は、私のもしも話に顔を赤らめた。


「日向、もしも話だからね」

私は念を押す。

無言でこくんと頷く日向が、とてもピュアに見えて可愛くて仕方ない。


「その彼氏の周くんがさー、他の女の子と浮気した挙句に、その女の子と付き合いたいって言い出したら、日向はどうする?」


日向は真顔になった。


「浮気したんですか?彼氏さん」


「うん、しかも浮気相手に本気になってる」


私は、本当は泣いてしまいそうになったけれど、鳥南蛮の付け合わせに添えてあったキャベツの千切りを、大量かつ強引に口に入れた。


日向はじっと私を見つめて、それからゆっくりお箸を置いた。


テーブルの上に置いていた私の左手を、遠慮がちな日向の右手が包んでくれる。