「わぁ、オシャレなカフェですね」
鈴井くんが帰ったあと。
私はすぐに日向に連絡をした。
『今日、会えない?』
大学の授業が午前で終わったらしい日向は、私からのメッセージにすぐに返信をくれた。
『大丈夫です!どこかで待ち合わせしますか?お家に伺うほうがいいですか?』
私は少し考えて、
『「黒猫」っていうカフェ、知ってる?』
と送った。
お昼過ぎ。
私は「黒猫」のボックス席に、日向と向かい合って座っている。
「このお店ね」
私は静かに話し始めた。
「彼氏に……、鈴井くんに、教えてもらったお店なの。出会った日に1度だけ、ふたりで来ててね」
私の席の前にはロイヤルミルクティーが優しい表情をして、私を見つめている。
「透子さん?」