優大くんの瞳。
じっと見つめられたら、嘘なんかつけないくらいに、真っ直ぐな瞳。
だけど、寂しい瞳。
優しくて、悲しい。
夕焼け空の瞳。
いつか買った写真集の夕焼け空のページは、じっくり見過ぎて、そこだけ簡単に開く。
よく笑うところも。
ちょっとシャイなところも。
時々ヤキモチ焼きなところも。
私の、大好きな人。
『ちゃんと考えてるの?』
……頭の中で。
『芸能人と付き合う大変さ』
……繰り返しリピートされる。
『深雪ちゃん、引き返すなら傷の浅い内にね』
薫おじさんの言葉を思い出して、今日はきっと眠れないな、と思った。
翌日。
「黒猫」に大学生と思われるカップルがやって来た。
男の子は何度か見たことがあるけれど、女の子は初めて来たお客様だと思った。
女の子は店内を見回している。
メニュー表を渡した時、男の子が何も聞かずに、女の子の分まで注文した。
女の子は戸惑いの表情を見せていたけれど、すぐに明るい笑顔を見せた。