「シー・ファンキーズ」の公式ホームページや、その他インターネットで調べれば、優大くんについてもっと知ることは出来るけれど。
私は優大くんと関わることで、優大くん自身を知りたいから。
春。
桜が咲き始めている。
植物達がどんどん開花していって、街が春色になっていく。
「黒猫」の店内。
もう閉店時間になり、薫おじさんと幸絵さんとで、後片付けをしている。
「今日は混んでたねー。お花見のついでに寄ってくれる人が多いのかな?」
肩をほぐしながら薫おじさんが言う。
「ふたりはお花見に行くの?」
幸絵さんが、
「今度、旦那と息子と行くんですよー!ちょっと遠出して、ドライブがてら!」
と嬉しそうに話した。
「息子が中学生になって、部活ばっかりだから。一緒に出かけてくれるのってレアなんですよねー」
「部活かぁー。そうだね、中学生の頃って部活の思い出が濃いよね」
そう言った薫おじさんは、
「楽しんできてね、幸絵さん」
と、笑顔を見せた。
幸絵さんも嬉しそうにニッコリ微笑む。