チョコレートも食べ終わって。


リビングのソファーに並んで座っている。

優大くんの右手が私の左手に重なった。


自然と手を繋ぐ。




穏やかな気持ちだけど、心臓は早鐘みたいにドキドキ鳴っていて。

胸の中は苦しいくらいにきゅんきゅんしているけれど、ずっとこのままがいいと思うくらいに心地良い時間が流れている。



「優大くん」

名前を呼ぶと、優大くんはいつも通りふんわりした笑顔を見せて、
「ん?」
と短く返事した。


あぁ、好きだなぁ。



この表情、本当に好き。



「……ん?何ですか?」

「呼んでみたかっただけです」
正直に言うと、その表情が見たかっただけだけど、それは言わなかった。

ちょっと恥ずかしいから。




「深雪さん」
優大くんが私のほうに向き直って、繋いでいた手を一旦離してしまう。

「何ですか?」
左手から急に寂しくなる。

私も優大くんのほうへ向き直ると、優大くんは両手を広げて、腕の中に私を閉じこめた。


「抱きしめたかっただけです」
耳元で囁かれて、心臓がドキンッと跳ねた。