「はい、どうぞ」
そう言って優大くんに差し出したチョコレートは、実は今朝作った、手作りチョコレートだった。
トリュフチョコレートに粉砂糖をかけていて、甘いミルクチョコレートと、ほんのり苦いビターチョコレートの2種類。
あまり自信のない出来栄えだけど。
「ありがとうございます!」
優大くんは渡したチョコレートの箱を受け取り、顔を輝かせた。
「食べてもいいですか?」
「どうぞ。でもあんまりじっくり見ないで食べてくださいね」
チョコレート達は不恰好な形に仕上がってしまった。
優大くんは「いただきます」と両手を合わせて包み紙を丁寧に開いた。
箱を開けてチョコレートを見た時に、
「美味しそうですよ」
と、笑いながら言った。
「笑ってるじゃないですか!」
「いやいや、芸術的?で美味しそうです。深雪さんも食べましょう!」
「芸術的って……、それ、ディスってますよ」
私まで可笑しくなってきて、ふたりで大笑いしながらチョコレートを食べた。