「『マーチ』と『ポルカ』です」
バレンタインデー。
私は初めて、優大くんのお部屋にお邪魔している。
お部屋と言っても。
私のひとり暮らしの部屋とは大違いで。
セキュリティーのしっかりしたマンションの……もしかしたら億ションかもしれないけれど、眺めの良い景色が見られる部屋で。
リビングのソファーには、私がプレゼントしたライオンのぬいぐるみが置いてあって、嬉しさがこみ上げてくる。
そのライオンのそばで可愛いらしい2匹の猫ちゃんが、私を見つめている。
マーチがトラ猫で、ポルカは白猫。
誕生日に優大くんからもらったプレゼント第1弾の、花束を挟んで座っているあの2匹の猫のぬいぐるみに、本当によく似ていた。
「可愛いですね」
笑顔で見つめ返す。
するとマーチが、
「フシャーッ」
と、毛を逆立てた。
えっ。
ポルカに至っては逃げ出してしまった。
「……ひと目で、嫌われました」
しょんぼりしてしまう。
優大くんは、
「こらこら、マーチ」
と、マーチを抱きしめて落ち着かせている。
それから、
「マーチもポルカも人見知りなんです。たまに来るメンバーにもこんな感じです」
と、一応フォローをしてくれる。
「うぅー、フォローをありがとうございます。好きになってもらえるように、頑張ります」
「頑張りましょう」
優大くんは笑っている。