「何かごはん、食べましたか?」
優大くんにぎゅっと抱きしめられながら、私は尋ねた。
「……食べました。帰りの車の中で。深雪さんは?」
「今日はちょっと寒かったので、ポトフを作って食べましたよ」
「いいなぁ。美味しそう」
そう言って優大くんが少し腕の力を緩めたので、ほんの少し体を離す。
「いつか食べてくださいね、頑張って作ります」
「はい。楽しみです」
「今日ね、田谷さんがイヤリングを褒めてくれました」
キッチンでココアを作りながら、部屋の中央に座っている優大くんに話しかける。
「つけてくれてるんですね」
優大くんが嬉しそうに目を細める。
「お気に入りです!でも田谷さんは、優大くんが来ないから寂しがっていました」
「そうなんですか。オレも田谷さんと話したいなぁ」
一瞬。
優大くんのお仕事の話になりましたよ、と言いかけてやめた。