街の中がクリスマスカラーになってきた。
今日はチラチラと雪も降っている。
「深雪ちゃんは毎年、クリスマスってどうしてるの?」
田谷さんがホットコーヒー片手に聞いてきた。
12月の「黒猫」。
夕方の、あまり混んでいない日。
「えっ、クリスマスですか?うーん……」
私は腕を組んだ。
「えっ!?そんなに考える!?」
田谷さんが大袈裟に驚く。
その時、カランコロンと扉が開いた。
武岡さんがやって来た。
「いらっしゃいませ」
私は近寄り、席に案内しようとする。
「こんにちは」
武岡さんが挨拶してくれる。
……嬉しい。
「あー、武岡さん!こっち、こっち来て!」
田谷さんがカウンター席から手招きしているので、武岡さんはそばに座る。
「今ねー、問い詰めてたの。深雪ちゃんを!クリスマスをどう過ごすのかってね!」
田谷さんは武岡さんに会えて、嬉しそうだ。