しまった、と思った。
隣にいる「シー・ファンキーズ」のメンバーの周が小さくオレを小突いた。
あかん。
もう、これしか答えが出てこうへん。
仕事中に心の声が関西弁になってしまった。
こんなの珍しい。
素の自分に戻ってしまうくらい、焦っていることが自分で分かった。
「優大さん?」
インタビュアーの女性が俺を見ている。
「苺みたいな人、です」
言うしかない、と思った。
苺みたいな人。
言葉にすると恥ずかしさで耳に熱が集中する。
「苺みたいな人、ですか?」
インタビュアーの女性の表情は相変わらずニッコリしているけれど、笑顔の裏ではきっと「おいおい、こいつ大丈夫か?」と思っているに違いない。
「はい。苺みたいな人です」
ダメ押しみたいに、オレはもう1度答えた。