「そうですね。あれ?カフェは?」
不思議そうに私を見た武岡さんに、私はざっくりと説明をした。

花屋のおばあちゃんがぎっくり腰になったこと。

その関係で出前を頼まれたこと。

おばあちゃん家から帰る時にぼんやりしていたら、「黒猫」を通り過ぎてしまったこと。



説明を聞いてすぐに武岡さんは、
「花屋のおばあさんの具合は大丈夫だったんですか?」
と、おばあちゃんを気にかけてくれた。


私はそのことが嬉しく感じた。



きっとこの人は優しい人なんだろうなぁって思った。





「動くと痛そうですけど、元気みたいでした。息子さん夫婦が今晩から泊まりに来てくださるそうで、おばあちゃんはちょっとだけ嬉しそうでした」


「そうですか、良かったですね」
武岡さんが安心したような顔をした。


武岡さんにとっては全然知らないおばあちゃんなのに、本当に心配してくれているんだなぁ。



「武岡さん、あの……」