あれから。
時々、あのお客様はお店に来てくれるようになった。
あのお客様とは、キャップのイケメンさんのこと。
私は心の中だけで、あのお客様のことを「キャップさん」と呼んでいる。
その「キャップさん」は平日の午前に来る時もあれば、閉店間近に来る時だってあった。
いつも私服姿。
カジュアルな普段着という恰好なのに、「キャップさん」が着ているだけで、とびきりオシャレに見えるから不思議だ。
だけど。
何をしている人なんだろう?
どこかに勤務しているにしては、平日の午前にのんびりアイスコーヒーを飲んでいるし。
スーツ姿も見たことがない。
ラフな恰好でいい会社かな?
勤務時間だって、きっと勤務先によって様々だろう。
「キャップさん」について、知らないことはとても多いように思う。
そしてそう思っている自分を見つけて、改めて思うのは。
私は「キャップさん」について、もっと知りたいんだなぁということだった。