鈴井くんが、正しいから。
私の意見なんて聞いてもらえなくて当然なんだ。
だって。
そうじゃないと、隣にいられなくなる。
そう思うと、怖かった。
運命の人だもん。
離れたくなんかない。
私には、鈴井くんしかいないんだもん。
「……そんなわけ、あるか!!」
ベッドの中で叫んだ。
自分の頭の中で再生していた過去に、全力でツッコむ。
つけっぱなしのテレビの雑音にまみれた、私の大きな独り言。
……分かっている。
鈴井くんと付き合って半年近く。
彼は、私が好きなんじゃない。
運命の人じゃないかも、なんてとっくに気づいていた。
でも。
なんで?
なんで、浮気なの?
しかもその浮気が本気になったって。
意味わかんないんですけど。