「……?何か?」

気を遣ってくれたのか、女性店員も小声になる。


何を話すつもりだったっけ、と頭の中が真っ白になり、
「イヤリング、羨ましいです。素敵ですよね」
と、またイヤリングの話をしてしまった。


それでも女性店員は嫌な顔を見せず、
「嬉しいです、ありがとうございます。私、実はアクセサリーとかに疎くて……」
と、恥ずかしそうに呟いた。


「えっ?」
思わず驚いてしまった。


アクセサリーに疎い人が選ぶイヤリングではない気がしたから。


「プレゼントしてくれた人が、アクセサリーに詳しくて……。私なんかに勿体ないイヤリングなんですけど」


女性店員の正直な告白に、とても好感を抱いた私は、
「いいなぁ。恋人ですか?」
と、冗談っぽく言った。


これは仕事先では、アウトな言葉だと思う。
失礼に思われるだろうし、何かのハラスメントになるかもしれない。

……そこらへんは、よく分からないけれど。



でも。
女性店員は怒ることなく、
「……はい」
と、可愛らしく頬を赤く染めた。